JSDEIは、2012年2月~10月に渡り、世田谷区立芦花中学校をモデル校として、女子生徒に計6回のダンス指導を行いました。
芦花中学校では、ダンスの授業に年間で10単位時間、3年間で、24単位時間を割り当てているそうです。
そのうち、JSDEIは、1年時に2回、2年時に4回、実際の授業に参加し、振付けと指導を行いました。振付け指導したダンスは、学校の学芸発表会で、披露されました。
【1年生:10単位時間】
《授業の進め方》
JSDEI開発教材「ヒップホップ・ダンスⅠ 10時限プログラム」DVDの流れにそって、1単位時間に1時限ずつ進めていったそうです。
《JSDEIの指導内容》
「ヒップホップ・ダンスⅠ」DVDに出て来る基本ステップを組み合わせた振付けを指導。
《評価の仕方》
DVDと同じように、ステップが踏めるかどうかで、評価を行ったそうです。
【2年生:10単位時間】
《授業の進め方》
JSDEIが出張して授業を行う以外の授業時は、JSDEIによる振付けを練習。
①ダンスが得意な生徒に前に出てもらい、まずは、カウントでゆっくり練習。
②全体で音楽に合わせて、ダンスを踊る。
③映像を撮って、それを確認。
鏡がなく、確認が難しかったので、映像を撮って、それを確認する方法を取ったそうです。毎時、映像を撮っていたので、評価をするときも、その映像を頼りにすることが出来ました。また、生徒の成長ぶりも伺えて、役に立ったそうです。
映像確認時は、3グループに分かれ、「発表するグループ」「映像を確認するグループ」「話し合うグループ 」で 行ったということです。
《JSDEIの指導内容》
1回目:基本ステップをもとにJSDEI指導員によるオリジナルの振付けを指導
2回目:1回目の振付けを元に移動やグループ毎のアレンジを指導
3回目:新しいステップを練習し、新たな振付けを指導
4回目:生徒によるダンス創作支援
《評価の仕方》
評価の観点は4つ。
関心・意欲・態度:積極的に話に入っているか、また話を聞いているかで評価。
知識・理解:ダンスのステップの名前や、ステップがいつ発祥したのか、また指導要領の穴埋めなどを、テスト出題して、評価。
思考・判断:例えばランニングマンが出来ないとして、できるようになるためにどうするか考えて、工夫をしているかで評価。
技能:ステップができるかで評価。
一人一人をこの観点で評価するが、今回、クラス単位で作品を作ったので、クラスの作品の出来で評価してしまうと、みんなが同じ評価になってしまう。これを一人一人の評価に落とすのが難しかったそうです。悩んで、一人一人の態度や毎回授業の後に練習の工夫などを書かせたノートをチェックして、評価を行いました。
■JSDEIによる実際のダンス指導の内容と様子■
【1-2回目】2月1日(水)2日(木) |
中学1年生JSDEI開発教材「ヒップホップ・ダンスⅠ」の基本ステップをもとにJSDEI指導員によるオリジナルの振付けを指導。 |
【3回目】6月6日(水) |
前回指導した生徒さんも中学2年生になりました。DVD教材「ヒップホップ・ダンスⅠ」で、習得したステップをもとに振付けを進めていきました。 |
【4回目】6月13日(水) |
先週の振付けを確認後に、列の前後移動を行ったり、3人組で構成されたダンスを踊ったり、 今週は、グループを意識した取り組みを行いました。 |
【5回目】10月3日(水) |
新しいステップの練習を行い、列毎に向きを変更するなどのアレンジも加えて、 振付けを進めていきました。 |
【6回目】10月10日(水) |
曲の残りの振付けを生徒達で創作する授業に立ち会いました。 生徒達は、それぞれ話し合いながら創作を進め、 実際に発表する場の体育館のステージ上でも練習を行っていました。 ダンスも揃うようになり、何より楽しそうに踊っている姿が印象的でした。 |
■体育担当教諭からのコメントと感想■
JSDEI開発教材のDVDは、とても使いやすかったです。
今年度は、男子もこのDVDを使用して、授業を進めています。男子は、女子よりもダンスを嫌う傾向がありましたが、実際にDVDを見ながら、リズムトレーニングやステップ練習を行うと、ほとんどの生徒が「楽しかった」という感想を述べていました。
評価は関心・意欲・態度、知識・理解、思考・判断、技能の4観点で行っていますが、技能の評価というのは現場の教員では難しいところ。技能のところだけは、JSDEIなどダンスを熟知している外部講師が見て判断し、他の評価ポイントは現場の教員が行うなど、連携がとれるとよいのではないかと思いました。
■学芸発表会を終えて■
体育担当教諭の感想
今回は、学芸発表をすることで、モチベーションが上がった子もいれば、逆に苦手な子は、モチベーションが下がり、嫌だなと思ったり、学校や練習に行きたくなかったり、という思いもあったのではないでしょうか。クラスの中に引っ張っていってくれる存在の子がいるクラスは、スムーズに運んでいきましたが、そうでないクラスは、苦労をしていました。今回、学芸発表会ということで、他にも合唱等があったので、放課後の練習は禁止し、朝の10分間や、休み時間など、空いた時間で工夫をして、練習をするよう声掛けしていた。そして、こちらも、引っ張って行ってくれる子がどんどん、進めていました。
しかし、どの子も、コミュニケーション能力は、高まったように思えます。ダンスが苦手な子も、発表という期限があるため、必要に迫られて、分からないところをダンスが得意な子に聞く等、コミュニケーションを取っていました。
特にもめるような事もなく、みんなが自主的に進められたように思います。
発表ということで、教員側は、ダンスの技術だけではなく、「見せ方」ということも勉強しないといけないと思いました。照明も、もっと工夫できたら良かったように思います。
学芸発表会に向けての生徒の様子
休み時間などの空いた時間に踊っている生徒が出始めました。空き教室や廊下の広いスペースなどで曲をかけて練習している様子が伺えました。その曲を聴いて、男女問わず生徒が集まって一緒に練習するという光景も見られました。
生徒の感想
ダンスの評判がとても良かったです。学芸発表会では合唱なども行われていて、いつもはその合唱が良かったという感想が多いのですが、今年は、ダンスが良かったという感想が多く挙げられました。ダンスをやっていない3年生の感想でも、「2年生のダンスが良かった」という感想が聞けました。
他の先生方の感想
3クラス同じ曲で、同じ振付けだったので、3回同じ物をみることになったのだけれど、最後の創作の部分がそれぞれのクラスで違って、また作品の中にそれぞれのクラスの特徴が良く出ていたので、3回見ても飽きませんでした。